マダガスカルへの挑戦その2
フランスより約10時間かけて、ようやくマダガスカルの首都、アンタナナリボ国際空港に到着しました!
時刻は夜23時です。
乗客は、飛行機の前と後のタラップから二手に分かれて地上に直接降り、駐機場を歩いて空港ターミナルまで進みます。
乗ってきた飛行機を写真におさめようと振り返りカメラを向けると、「写真撮らないで!」と空港職員さんに注意されました(*_*)
な、なんでだ(*_*)
状況が腑に落ちないまま、とりあえず入国審査です。まずはビザ取得のための列に並びます。
マダガスカルには入国するのにビザが必要で現地で直接申請できます。マダガスカル通貨で80000アリアリか、約25ユーロを支払いビザ申請します。
30分くらいかけてようやく入国できたものの、荷物がなかなかターンテーブルに流れてきません。
結局到着してから入国、荷物を受け取るまで2時間近くかかり、空港を後にしました。
もちろん、もう日付は変わっています。
「疲れた(*_*)…早くホテルに行って、休みたい…」
空港からホテルまで車で30分程度の道のり。
うとうとしながら、車に揺られます。
ホテルまであと100メートルくらいの「街灯のない暗い交差点」で、車が突然止まりました。まさかの「警察の検問」に遭遇です。
ホテルはもう目の前…めんどくさいことにならないことを祈りますが、案の定、めんどくさい空気になってきました(*_*)…まずは荷物チェックから。荷物チェックを受けながら、質問を受けます。向こうの警察官は2人です。
警察官A「どこから来た?」
僕「日本です」
質問はほどほどに、必要以上に細かい、いやちょっと細かすぎる荷物チェック…
そして、彼らは僕の持っている風邪薬を見つけました。
…い、いやな予感…がします。
警察官A「この薬はなんだ?」
僕「風邪薬です」
警察官B「証明書を出せ」
僕「そんなものはありません」
警察官A「証明書がないなら、警察署に来なさい」
僕「薬に証明書がいるなんて、聞いたことがありません。警察署にいくなら、そこで話しましょう」
すると、一度「警察署に来なさい」と言っていたはずの警察官のほうが、なかなか警察に向かおうとしません。
僕「早く警察署に行きましょう。私たちはとても疲れているので、ホテルで早く休みたいです」
警察官AB「…」
そして次の瞬間、予想していた状況に…
警察官が、耳元で囁きます。
警察官A「…100ドルくれたら、見逃してやる」
この国の平均月収は、日本円で4000円程度。
USドルで100ドルといえば、1万円以上です。
つまり、この国の平均月収の3倍。
僕「いやです。払いません。」
警察官A「私とあなたの問題です。払えば見逃してあげます」
僕「払いません」
…こうなったら持久戦です。警察が諦めるまで、払わないと決めました。
しかし、警察官は耳元でずっと囁き続けます。
警察官A「早く払いなさい」
僕「…」
人数的には2対2ですが、警察官の手元にはごっつい自動小銃です。カチャカチャと音を鳴らしながら異様な圧力をかけてきます…
隣に座って、黙ってそれまでの話を静かに聞いていた土屋シェフ。この状況にはさすがに怒りもマックスです。車から降り、すごい迫力で警察官に2人に詰め寄りはじめました。
シェフは、流暢なフランス語(マダガスカルは元フランス領なので、英語ではなくフランス語が公用語)で、猛攻撃開始です。
土「ツーリストが持っている薬に証明書が必要なんてそんな法律はないはずだ。警察署に行くなら、さっさと連れて行け。なぜ、連れて行くと言っておきながら、さっさと連れていかないんだ?お前らがやましいことをしているからじゃないのか?」
….す、すごい…2人の警察官をシェフは完全に圧倒しています。そして、シェフの表情は余裕の表情です。
土「私達は日本政府の仕事で来ている。君の名前は?日本大使館に連絡して、薬の証明書が本当に必要かどうか、聞くぞ」
警「ご、50ドル(約5000円)にしてやろう」
土「うるさい。警察署にいくなら、早く警察に連れて行け!」
警「10万アリアリ(3500円くらい)でどうだ」
土屋シェフの表情が、変わりました。
シェフは、「強行手段に出るから」と、僕に伝え、カメラを手に取り、そのカメラを警察官の顔に向け、シャッターをきりました。
警「やめろ!」
土「お前の写真を撮る!そして明日、日本大使館でこのことを話す!」
警「やめろ!写真を撮るな!」
土「うるさい!私たちのパスポートをかえせ!」(この時、警察官に僕とシェフのパスポートを取り上げられていました)
警察官もタジタジになっています。
そして、
警察「…き、今日はもういい。い、行ってよし…」
土屋シェフの、完全勝利です。
かっこええ〜
自動小銃の前でも全く怯まない、土屋シェフの男らしさと強さに、猛烈衝撃的感動…
さらにファンになりましたです先生様m(__)mははぁ
…しかし到着早々、マダガスカルの闇の部分を垣間見ることになりました。
マダガスカルでは公務員への給料もろくに払われていないことが多いようです。
警察官であれば、「法律違反による罰金」と大義を振りかざして、実はいわゆる「カツアゲ」をこんなふうに堂々と行える。お金をもっているであろう、裕福な先進国の旅行者は絶好のマトです。
こんなふうに、ツーリストを狙った警察官の犯罪は、マダガスカルでは後を絶たないようです。
権力を持った警察官のこのような犯罪を国自体が容認している、ということが本当に信じられませんが、先進国では考えられないこのような話も、途上国では本当によくある話です。
こころが痛みました。
本当に複雑で難しい問題。この国には多くの問題が山積みになっています。
無事ホテルに到着です。
僕の部屋は「84号室」。
そしてそこは、「エレベーターのない4階」。
最後の力を振り絞り、ボロボロの体を引きづりながらギシギシと音の鳴る、木の階段を登ります。
…部屋に入ると、風呂に入ることもなくそのまま死んだように眠ってしまったことは、もはや、言うまでもありません。
10/4朝、ホテルの隣にあるカフェでフレンチスタイルの朝食。
カフェオレにクロワッサンやパンオショコラ、マドレーヌ、どれも美味しい!
首都アンタナナリボを彩る、「ジャカランダ」の木に見送られ、これから陸路2日をかけてマダガスカル北部の町「アンバンジャ」に向かいます!
つづく