四国中央市切山地区を拠点とするコーヒー豆焙煎所、チョコレート・スイーツ工房であるGBCキリヤマベースは、2017年3月のオープン以降、多くのお客様の支持をいただき、メディアにも取り上げられていますが、実は、ここに至るまでには店主高橋の食へのこだわりと、地元切山地区の人々との交流の歴史がありました。
物語は今から約15年前に遡ります-。
当時、イタリアに興味を抱いていた高橋は、自己流でイタリア料理をつくるようになると関心は飲食の分野に。ある時、現地イタリアで飲んだエスプレッソに衝撃を受け、その味が忘れられず、世界中のコーヒー豆の産地を巡るようになりました。
「いつかは自分の飲食店を手掛けたい」そんな思いを抱いていた高橋は、その後、四国中央市の「霧の森」でお菓子の製造に従事。「霧の森茶フェ」の立ち上げなどにも関わりました。その間も時間を見つけては、海外のコーヒー産地や国内のカフェを巡る日々。イタリアではエスプレッソのティスティングの資格(IIAC)を、アメリカではスペシャルティコーヒー協会(SCAA、CQI)が認定する「Qグレーダー」というコーヒー鑑定士の資格を取得しました。
コーヒーを巡る旅のゴールとして、2014年6月にGBC(グラブバッグコーヒーストップ)をオープン。しかし、それは通過点に過ぎませんでした。高橋はコーヒー豆の産地には良質なカカオ豆があることに着目。カカオ豆を原料とするチョコレートの生産を手掛け始めます。国内のチョコレート製造では大手商社からカカオ豆を仕入れることが一般的ですが、GBCでは現地の生産者から直接仕入れ、乳化剤などの添加物を一切使用せず、カカオ豆と四国中央市で栽培されたサトウキビからできた砂糖を使用してチョコレートを作っています。
チョコレート工場兼店舗があるのが、四国中央市切山地区にあるキリヤマベース。平家の落人伝説が残り、愛媛県最古の民家「真鍋家」住宅があるこの地との関わりは、スイーツの原料となる「卵」がきっかけでした。切山地区にある参鍋養鶏が生産する平飼いの有精卵に魅かれた高橋は定期的にこの地を訪れることに。真鍋家当主など地元の方たちの交流を通じて、約1400年続く切山地区の魅力を発信したいという思いが強くなり、地元の後押しもありキリヤマベースをつくることになりました。
こうした取り組みの成果の一つとして、2018年の「インターナショナルチョコレートアワード世界大会」にて、板チョコレート部門で銀賞、ミルクチョコレート部門で銅賞に輝きました。世界の「豆」の美味しさをより多くのお客様に味わっていただくために、GBCの物語は続きます。